転職・起業事例5/健康・生きがいづくりアドバイザーとして輝く

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松尾啓子、六六歳。「健康・生きがいづくりアドバイザー」(厚生省の外郭団体=健康・生きがい開発財団によって認定される資格)であり、N市にある市民互助型在宅福祉サービス団体=シーアイネットのコーディネーターおよび協力員(介助人)でもある。

生きがいづくりは、妻が夫を上手にリードする「婦唱夫随」が理想ではないかと考え、松尾は、夫の退職後の夫婦間のズレを防ぐため、あせりたい心を抑え、15年かけて夫を教育してきた。このかいあって、夫は今では家事全般をこなし、彼女のボランティア活動のよき協力者となっている。

彼女は夫が自立したのを契機に、シーアイネット設立に参加し、丸四年になる。多数のお年寄りと接した経験から、次のような感想を抱くに至った。

「お年寄りには、目に見える不満はなくても、漠然としたストレスを抱えている人が多いようです。そのような方たちの相談相手となるのは大変根気がいると思うし、ただ聞き役に徹するのではなく、前向きに今後の生活を考え、自立を促すことが大切だと思います」。

それからの彼女の行動は実に素早いもので、健康・生きがい開発財団の主催する「健康・生きがいづくりアドバイザー養成研修」に申し込み、三ヵ月の研修を受講し、資格を取得した。これが現在の活動に大いに役立っていることは、言うまでもない。

お年寄りたちに、健康と生きがいづくりの助言を行う一方、介助人としてお年寄りの介護(排泄、介助、清拭、洗髪、食事介助)、痴呆症・知的障害児の見守り、産前・産後の手伝い、家事援助
(食事づくり、掃除、洗濯)など、体力・気力を使うハードな什事をこなしている。

人間としての尊厳を保ちながら、生きていくうえで不可欠な「心」や「ふれあい」を大切にする姿勢で、優しさを込めて接する彼女は、六六歳とは思えないほど若々しく輝いて見える。

特に男性の独居老人は寂しがりやであることを痛感。食事をしながら話し相手となり、心のふれあいの場を演出している。大切なのは、その人の歩んだ時代について勉強し、折々の事柄を話題に盛り込むことのようだ。

一昨年は、ヨーロッパ福祉研修旅行に参加して、デンマーク、スウェーデン、イギリス、フランスの福祉施設を見学してきた。この研修旅行には、全国から六四名の福祉関係の現場で働く人たちが参加した。

「スウェーデンのある市では、痴呆性老人のための施設が街なかにあって、家族や友人が気軽に訪ねて来られるように配慮されているんです。個人の邸宅を改装した建物で、個室はきれいで明るく、敷地内に美容室もあるんです。お年寄りに対して28人の介護者がついていました。私の身の回りでも、介護が必要とされる方は増え続けています。介護はとにかく時間と根気のいる仕事。家族だけではとてもカバーしきれるものではありません。専門の介護者の存在は家族にとって心強いものですね。そこに家族が会いに来て心のふれあう時間を持つこと、これが大切ですね」。

松尾は日本に帰り、ヨーロッパと日本の事情を比較してみて、六〇歳以上の老人(男性)に自立心を起こさせることがいかにむずかしいかを実感した。少子高齢社会に臨み、これからの日本を背負って立つ若者や小・中学生にも自立の心を教え、ボランティア精神を育てることが大切であると信じている。

現役転職コンサルタント


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