転職・起業事例3/再就職支援で社会貢献

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葉山貞夫は六二歳。昨年の夏から、名占屋で再就職支援(アウトプレースメント)会社に勤務している。

昨年三月に、長年住み慣れた東京を離れ、妻と一緒にふるさとの三重に戻ってきた。夫人の母親が高齢のため健康状態に少し支障が出てきたことから、この帰郷を決めた。

同年六月に、以前勤めていた会社の人事部の後輩・高田慶一から、「実はうちの会社も数人お世話になっている再就職支援会社が、業務拡張の一環として名古屋に支店を出すことになり、その支店長を募集しています。葉山さんなら即戦力でいけますよ」という電話がかかってきた。

葉山は、その前年に会社を定年退職。定年直前こそ関連のサービス会社で営業を担当したが、長年、人事部で出向先開拓・相談・フォローの仕事に携わってきた。

葉山が現役で担当していた頃は、まだアウトプレースメント会社との付き合いがほとんどなかったため、話を聞いたときは、果たして60過ぎの自分に務まるのかと心配した。

面接の際、再就職するなら人の役に立つ仕事がしたいと思っています。再就職の相談・支援の什事は大変興味があり、やりがいのある仕事と考えています」と語り、話はトントン拍子に進んだ。

六月末から支店長として、さっそく支店開設準備に取りかかることとなり、この間、延ベ10日間、社内でカウンセラーになるための教育を受けた。新しい分野の仕事にもかかわらず、マニュアルや教材がしっかりしていることに感心した。

そして、七月末から実際に10数人を受け入れた。実績としては今年の春までに約50人受け入れ、約30人の再就職が決まり、これは社内でも1,2番の成功実績だった。仕事の内容は、まず受け入れたら約2ヶ月かけて一人一人、あるいは集団で次のような内容のカウンセリングを行う。

「再就職を絶対成功させるぞという意識づくり」「キャリアの棚卸しと職務経歴書作成の指導」「面接の受け方・人材紹介機関の訪問要領など、再就職を成功させるためのノウハウの提供」。これらの準備ができれば、いよいよ求職活動開始である。

再就職したい業種、職種、時期は、何歳まで働きたいか、あるいは単身赴任をしてでもよい仕事がしたいか、給与は二の次でむしろ家から通えるところで仕事をしたいか等、意思をさらんと整理できる人ほど長く成功するようだ。人さまざまで、中には雇用保険も出ているし少しゆっくりしたい、という人もいる。

葉山の会社では、受け入れてから平均で3ヶ月ないし4ヶ月で再就職先が決まるケースが多い。本人が、「絶対に次の仕事を見つけるぞ」という気持ちになることがカギであると語る。

ほとんどの人は前職を退職してから来ているが、中には在籍のまま末ている人もいる。退職してから来ている人のほうが退路を断たれている分、必死になって探すようだ。葉山は、毎日四人から5人くらいのカウンセリングを担当している。時には厳しく、時には優しく励ましながら、誠意を持って対応する。アドバイスに従って人材バンクや人材紹介機関を訪問したり、同社の求人情報等を
丹念に見て、求人案件を見つけ、就職を成功させるような人を応援する。

面接もうまくいき、再就職が決まり、本人からも求人会社からも喜ばれるようなとき、ささやかながら、人の役にたてたという思いと、この仕事を選んでよかったと感じる。

残念ながら中高年の求人案件は極めて少なく、葉山の会社も、独自の求人開拓に力を人れている。築山も、時間が空けば求人開拓を行う。成長が見込まれる中小企業をリストアップして、担当者が電話で求人の感触の有無を探り、求人開拓担当者が求人会社を訪問するという方法を採っている。

世の中リストラ流行りで、希望退職、人員削減の記事が新聞に載らない目はない。今年の夏、出身会社からも、早期退職優遇制度を利用して退職する人を数人受け入れることになった。お世話になった会社への恩返しと思い、葉山の顔が一段と引き締まる。

現役転職コンサルタント


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